当院ではバスキュラーアクセス手術を行っています Thoughts on our treatments
早徳病院は透析医療の黎明期より腎不全患者さまの日常を支える、地域に根差した病院をめざして診療してまいりました。近年、医療の進歩により透析治療が長期化し、命綱ともいえるバスキュラーアクセス(透析シャント)を専門的に管理する必要性が一層増してきました。そのためこれまで血管外科医として透析医療に長年関わってきた経験を活かし、自院の患者さまだけでなく広く岐阜地域の透析患者さまのお役に立てるよう、シャントの管理、治療をおこなっています。
当院のバスキュラーアクセス管理の取り組み Our Approach
即日対応
速やかなシャントの作成・回復を目指します。必要であればご紹介いただいたその日に治療致します。通院の困難な方の場合は入院治療も可能です。
日帰り手術
自己血管シャント、経皮的血管形成術(血管内治療VAIVT)などは基本日帰り手術で対応いたします。人工血管シャントは3日間の入院を基本としています。
使いやすいシャント
穿刺部位を考慮した使いやすいシャント、またシャント閉塞をした場合の次の一手を考慮した長期的視点に立ったシャント作成を目指します。
バスキュラーアクセス手術とは About Vascular Access Surgery
透析装置と体の血管をつなぐ手段をバスキュラーアクセスといいます。方法としては自己血管シャント、人工血管シャント、動脈表在化、一時的透析カテーテル、長期留置型透析カテーテルなどいくつかの方法があります。
その中の代表的なものが透析シャントです。シャント(shunt)とは日本語で“短絡”と訳されます。心臓から送り出された血液が流れる動脈と、心臓へ血液の帰る静脈を直接つなぐ(短絡する)ことによって静脈に流れる血液量を増やします。すると静脈は太くなり、透析の針を刺すことができるようになります。安定した透析を行うには1分間に500〜1000mlの血流があるシャントが望まれます。良いシャントとは針が刺しやすく、十分な血液量がとれ、長持ちするシャントです。
合併症シャントトラブルについて Complicated Shunt Problems
作成したシャントは問題なく使い続けられるのが望ましいですが、穿刺を繰り返すうちに血管が狭くなり血流低下したり、詰まったりしてシャント不全に陥ることが多々あります。また、合併症として、手がむくむ静脈高血圧、血管がこぶ状に太くなるシャント瘤、シャントに血流を取られるため手指の虚血を起こすスチール症候群、シャントが流れすぎて心臓に負担がかかる過剰血流などもあります。
これらの問題に早め診断し、対処するため定期的にシャント診察を行い、血管内治療(VAIVT)や手術でケアをしていく必要があります。また、人工血管感染を合併した場合は、感染が全身に及ぶ敗血症となる可能性があり、緊急で処置が必要となる場合もあります。
治療機器 Treatment Equipment
当センターは全身麻酔が可能な手術室2室を備え、血管造影可能なフラットパネルディテクターを持つ透視装置を手術室および放射線部門に備えています。また詳細な血管診断が可能な超音波診断装置も3台配備し、院内のどの部門でもシャントの診断が可能な体制を取っています。
医師 村川眞司
医師紹介 Doctor Introduction
岐阜大学医学部付属病院、岐阜市民病院で心臓血管外科専門医として30年以上診療を続けてきました。血管外科の知識・手技を活かして、透析医療とかかわる内に近隣の透析病院より多くの紹介・相談を受けるようになりました。バスキュラーアクセスは単発的な治療だけでなく、長期的視点に立った手術・管理を行う必要性を強く感じ、当センターを開設するに至りました。